#18 警戒事態宣言と「家にいます」キャンペーン

ご存じの方も多いと思いますが、これを書いている2020年3月18日現在、COVID-19感染拡大を受け、スペイン全土に「警戒事態宣言」が出されています。

「警戒事態」という訳語は、外務省の海外安全ホームページに載っているのでここでもそれを使用しています。

また、「警戒事態」はネット上の記事などに見られる「非常事態」とは別の状態らしいことが日本貿易振興機構(ジェトロ)のホームページに書かれていましたので、やはりこの訳語を使いたいと思います。

警戒事態宣言はスペイン憲法116条(緊急事態条項)が定める3つの事態のうち、戒厳事態、非常事態の下位に位置付けられている。

https://www.jetro.go.jp/

移動の制限

警戒事態宣言にともない強い移動制限がかけられており、必要最低限の外出以外は禁止されています。

仕事に行くこと、生活必需品や薬の調達、医者にかかること、犬の散歩(1わんこにつき1人!)などは認められていますが、家族や友達との小規模な集まりさえも禁止になっています。

教育機関はもちろんすべて休校措置がとられています。

食料品・日用雑貨を売る店(スーパー含む)や薬局、銀行、ガソリンスタンドなど一部をのぞき、レストランやバルも全て閉まっています。

集まるのが好きなスペイン人にとってはストレスのたまる状態ですが、全世界、特に欧州全体がほぼ「緊急事態」になっている今、「わたしは家にいます」(#yomequedoencasa)を合言葉に、各自が外出を控え、少しでも拡大を防ごうと努力しています。

村の生活へのインパクトは

都市部の人々には、この措置は本当に不便であり、生活も一変してしまったと思います。

一方、もともと人口が少なく商店もない、小さな村の生活には、都市部ほどの大きな落差は生じにくいと感じています。

村に1軒あるバルはもちろん閉まっていますし、ちょっと友達に会いに行くことはできませんが、2つ先の村カンティンパロスでいつも通りパンや食品を買うことはできました。

途中で隣村の友達とすれ違ったので、1m以上しっかり離れて、挨拶と冗談を交わしました。

お店や薬局は、一度に店内に入れるお客さんを制限し、お客さん同士が近づかないように動線を決めているところもありました。

お店の人はマスクをしている人が多かったですが、お客さんや道ですれ違った人でマスクをしていたのは1人2人といったところで、スペインでも入手は困難です。

想定される様々な影響

スペイン国内、特に首都マドリッドで急激な感染拡大が見られているこの状況では、感染の懸念そのもので不安になりがちな人、特に高齢者や持病のある方が、たくさんおられるのではと思います。

また、物理的・心理的に人と人の距離が比較的近く、どんな時でも「寄り添う」文化が色濃いスペインでは、思うように友達や知り合いと会えない状況が精神面に与える影響も、少なからずあるかもしれません。

経済的な打撃については、すでに目に見えて現れてきているといっていいでしょう。

観光都市セゴビアは、先週末から観光案内所をはじめ、カテドラルやアルカサルもすべて閉まっています。

COVID-19の感染が世界で騒がれ始めてからというもの、観光客は少しずつ減少していましたが、スペイン全土の移動制限や陸路国境封鎖、EU入域制限、また日本をはじめとした他国による渡航中止勧告などが行われている今、観光産業は完全にストップしてしまいました。

村の数軒の貸別荘も、予約はもちろん全てキャンセルになりました。警戒事態宣言が出る前の週末まで、宿泊客の車が何台も停まっているのを目にしていたというのに。

本当に残念、そして心配なのですが、これはどうしようもありません。自分としては、すべてが平常に戻った時にスピーディに復活できるよう、現状のダメージを最小限にしてできるだけの準備をしておくことが肝要と思っています。

空と大地はそのまま

私自身、不安がないといえばうそになりますが、今はとにかく外出を控えて、家でできることをしながらこの時期を乗り越えようと考えています。

さいわいなことに、村を包んでいる空や大地は何も変わらず、ゆっくりと日々を刻み、どんなときも我々のそばにいてくれます。

もちろん、時に気候も暴れることがあるのはスペインも同じ、油断はできませんが、わが村で大きな災害は近年起きていないので、どうかなるべく平穏であってほしいと願っています。

我が家にはねこが3匹いて、たまに外にも出ますが、たいていは庭周辺か家の中で暮らしています。

いつもと変わらず自由で気ままなねこたちの様子を眺めながら、1日も早くこの世界の混乱がおさまるように、祈りをこめて、この記事を書きました。

村のトネリコの木とねこたち