#19 引き続き警戒事態宣言下のスペイン

前回の投稿は2020年3月18日、スペイン全土に警戒事態宣言が出されて4日後でした。

現在、あれから17日が経ち、当初の2週間から4週間に延長された厳しい移動制限の3週目が終わろうとしています。

移動制限は現時点で4月12日の日曜までとなっていますが、日々のCOVID-19感染者・死亡者数の推移を見ていると、残念ですが再延長もまだありうるのではと思っています。

(追記:この記事を投稿したのは4月4日に日付が変わってすぐの夜中でしたが、同日午後には首相が会見し、4月26日までの延長が発表されました)

まさか、これができないとは

実は、前回投稿時、軽い運動やリフレッシュを目的とした外出、いわば「散歩」が移動規制によってどうなるのかについて、あまり深く考えていませんでした。

カバーニャスのような小さな村では、散歩は村人の大きな息抜きのひとつといってよく、日課にしている方が多いのです。もちろん私や夫にとっても、どこまでも広がる自然の中を歩く散歩は楽しみの1つです。

90歳前後の老夫婦が杖を片手に、寒い日も暑い日も、雨の日は傘を差してでも、往復3kmほどの道のりをゆっくりと散歩される姿を毎日見かけていました。

ところが。
今回の移動制限に、散歩は認められていませんでした。

スペインで警戒事態宣言が出された2020年3月14日に、在スペイン日本大使館からスペイン在住者へ送られたメール「スペインにおける新型コロナウイルスの発生状況について(3月14日)」に以下の記載がありました(上記リンクからメール内容を見ることができます)。

「警戒事態」宣言下でも認められている市民の移動
●食糧・その他医薬品等の必需品の入手のための移動
●医療機関への受診のための移動
●職務履行のための職場等への移動
●住居へ帰還するための移動
●高齢者、小さな子ども、障がいのある方、その他日常生活において手当てが必要な方への対応(介護等)のための移動
●金融機関への移動
●その他、不可欠な理由による移動

https://www.es.emb-japan.go.jp/

注:3月31日には上記の「職務履行のための職場等への移動」に、さらなる制限が課されています。(「スペイン政府による警戒事態宣言に伴う諸規制」 をご参照ください。)

いずれにしても、ここに運動や散歩は出てきません。ただし、短い時間の犬の散歩だけは、例外的に認められています。

ということは、犬を飼っていない場合、仕事以外の理由で外出が許されるのは必需品の買い物や医療機関受診、はたまたゴミ捨てなどの具体的かつ緊急な目的がある時のみです。

さ、散歩ができない。

村生活の最大にして最重要アクティビティが禁止とは。

周辺諸国を見てみると

COVID-19の感染拡大が伝えられている他の欧州諸国では、同様の移動規制を敷いていても、条件付きで運動や散歩が認められている例が多いようです。今日4月4日現在で調べてみました。

まずはイタリア。在イタリア日本国大使館のホームページ「4月1日首相令(抄訳)」の中に、「3月20日保健省命令」として以下記載があります。

運動は自宅周辺で単独で行い,他人との対人距離を保つ場合のみ可能

https://www.it.emb-japan.go.jp/

フランスはどうでしょう。在フランス日本国大使館のホームページより、「フランスにおける外出制限について」から引用します。

集団的スポーツ以外で他人との接近を伴わない個人的な運動や,散歩(複数人で行う場合には,同居人同士のみに限定),ペットのために必要なもので,1日1時間以内,自宅から1キロ以内で行う短時間の移動。
(注)近所でのジョギング,散歩,飼い犬の散歩等が該当すると考えられます。

https://www.fr.emb-japan.go.jp/

ドイツも見てみます。在ドイツ日本国大使館のホームページ「新型コロナウイルスに関する最新情報(ドイツ)」の中の「ドイツの防疫対策>2. ドイツの国内措置(行動制限等)」に以下の記載があります。

職場への通勤,緊急時ケア(託児,高齢者介護等),買い物,通院,試験や会議等重要な日程,他者の支援,個人によるスポーツ,屋外での新鮮な空気を吸うための運動やその他必要な活動のための外出は,引き続き認められる。

https://www.de.emb-japan.go.jp/

EUは脱退してしまいましたが、念のためイギリスも見てみましょう。在英日本国大使館のホームページより「英国における外出自粛要請」を参照しました。

外出が認められるのは、必要最低限の買い物,一日一回の運動,医療上の必要、真に必要な通勤という目的に限られる

https://www.uk.emb-japan.go.jp/

…ということで、スペイン、運動や散歩に関してはどこよりも厳しい外出禁止のようです。

運動不足が心配

おかげで、普段運動の習慣などまったくない私が、雨の日以外は庭でスロージョギングをするという事態になりました。といっても1日20分弱の本当に軽いものです。

たまたまありがたいことに、家の周りをぐるっと庭が取り囲んでいるので、周回することができます。また傾斜地なので上りと下りが交互に来るため、ちょうどよい負荷がかかり中だるみもしません。

脂肪の燃焼には30分くらい走らないと意味がなさそうですが、燃焼する頃には続けるのがいやになりかねないので、単なる気晴らしでよしとしています。

と、自分のことはいいのですが、先に書いたとおり、村のお年寄りたちにとって日々の散歩はおそらく重要な「エクササイズ」であり、また「息抜き」であったと思うと、彼らの心身の健康が心配になってきます。

もちろん、高齢者のウイルス感染は是が非でも避けなければなりません。しかし、広々とした村で、社会的距離さえきちんと取れれば、散歩は可能だと思うのですが。

この3週間まったく彼らを見かけなくなってしまったので、どうしておられるだろうと少し気がかりです。村人同士、お互いの状態を気にかけ、声をかけ合う文化なので、おそらくお元気だとは思いますが。

心なごむイヌリンゴの花

今日の記事に貼れる写真がないので、庭でちょうど咲き始めたイヌリンゴ(ヒメリンゴとも呼ばれます)の写真を載せます。

この木は5年前、まだスペインへ移り住んだばかりの頃、村のワイナリーの葡萄畑のそばに立っているイヌリンゴの木の実を持ち帰り、種が8つ取れたので苗床に蒔き、そのうち1つだけが発芽し成長したものです。

庭のイヌリンゴの木

スペインに暮らす人ひとりひとりが、今はこの危機を「自分のこと」として受けとめ、それぞれが犠牲を払って過ごしていると思います。

すべては感染拡大を1日でも早く食い止め、ひとりでも犠牲者を減らし、いつの日か「日常」を取り戻すために。

そしてその時、できることなら自分も、ひとりでも多くの人たちと、その日常をここで味わいたい。

可憐なイヌリンゴの花に、願いをかけてみたりします。

イヌリンゴの花、フューシャピンクのグラデーション